悪魔の吐きだめ

映画とかドラマとかのことを書いてます。

サプライズの連続!第71回エミー賞を終えて

今年のエミー賞はサプライズの連続だった。 まず、一つめのサプライズにして一番の驚きだったのはジュリア・ルイス=ドレイファスがコメディ部門主演女優賞を逃したことだ。6年連続同役で受賞を果たしていたドレイファスはファイナルシーズンである今年も間…

第71回(2019年)エミー賞ノミネートと受賞予想

先週、第71回エミー賞のノミネートが発表された。最多は「ゲーム・オブ・スローンズ」が32部門のノミネート。賛否ありながらも王者の貫禄を見せつける結果となった。ただ強豪も多いことから簡単に受賞もできないのでは。というわけで各部門毎に予想していき…

6月に観たもの・読んだもの

ちょっと遅くなったけど6月に観たもの、読んだものについて。まず個人的に6月はイベント的なトピックがいくつかあって、一つはサザンのライブだった。奇跡的に40周年ライブツアーの最終日のチケットが取れて、それも久々のライブだったから楽しみで、行って…

5月に観たもの・読んだもの

4月に「アベンジャーズ」、5月に「ゲーム・オブ・スローンズ」というゼロ年代を代表する二大エンターテイメント作品が終わり、まさに盆と正月が一緒に来たってこのことだなと思った。GoTの感想についての記事は以下に書いた。 ただ、終えて今思うのは、あま…

長い戦いを終えて〜「ゲーム・オブ・スローンズ」は一体何がスゴかったのか

「ゲーム・オブ・スローンズ」が終わった。世界中が固唾をのんで見守り続けた玉座を巡る争いを描いた「TVドラマ」が終わったのだ。「アベンジャーズ」と並んで熱狂的なファンダム(熱心なファンで作り上げられた文化)を持つこのドラマシリーズは一体何が凄…

「荒野にて」居場所を求める少年と馬の物語

アンドリュー・ヘイ監督の新作「荒野にて」が本当に素晴らしかった。 監督のアンドリュー・ヘイについては、HBO製作のゲイドラマ「Looking」でその名を知った。今作ではマイノリティの疎外感だけでなく、そのコミュニティ内でもあるゲイ同士の微妙な距離感の…

「After Life/アフター・ライフ」リッキー・ジャーヴェイスが描く人生の悲哀とアイロニー

まず、リッキー・ジャーヴェイスという名前を聞いて、かつてのゴールデングローブ賞の授賞式の司会を思い出す人も多いかもしれない。当時興行的にも失敗し評価もイマイチだったサスペンス映画「ツーリスト」がなんとコメディ部門にノミネートされてしまった…

「マイ・ブックショップ」小さな書店と厳しい現実

大人になってから本を多く読むようになった。何かきっかけがあったわけでは無かったと思うけど今まで触れてこなかったジャンルも含めて読み漁りはじめた。それがきっかけで今も本屋、それこそ大型書店から小さい古本屋まで、見かけるとつい立ち寄ったりして…

ポール・フェイグが放つブラックなガールズコメディ「シンプル・フェイバー 」

アナ・ケンドリック、ブレイク・ライヴリー主演の「シンプル・フェイバー 」は、突然失踪したママ友をブロガーママが追ううちに驚きの真相が判明するというサスペンスミステリー。として謳われていたが、実際観てみるとこれがコメディだったから更に驚いた。…

「グリーンブック」ファレリー兄が描くフラットな“弱者”の物語

今年のアカデミー賞作品賞は「グリーンブック」が受賞した。世間の大方の予想では「ROMA」か「女王陛下のお気に入り」が有力視されていた中での今作の受賞はかなりサプライズでもあった。 それもそのはずで、監督は「メリーに首ったけ」や「愛しのローズマリ…

2018年 海外ドラマベスト10

2018年のドラマベスト10本について。 今年日本で初配信(放送)されたものに絞っています。 第10位「Atypical(ユニークライフ)」シーズン2(Netflix) ベストエピソード ep.1 Juiced! 自閉症を抱える主人公のサムとその家族を描いた今作。何よりもサムを演…

2018年 映画ベスト10

今年面白かった映画上位10本について。 去年の作品やDVDスルーの作品は除いてます。 第10位「RAW」 大学デビューと同時に肉食デビューしたベジタリアン女子が真面目だった殻を破るようにノリノリで人肉に目覚めていく様が最高。一見するとフェティシズム溢れ…

「ペンタゴン・ペーパーズ」とスピルバーグのTV界への恨み節

先日日本で公開となったスティーヴン・スピルバーグ監督の新作「ペンタゴン・ペーパーズ」(原題: The Post)。ベトナム戦争時代の政府の隠蔽文書とそれを世間に公表しようとする新聞社を描いたこの映画はスピルバーグのフィルモグラフィーの中では比較的地…

2017年 海外ドラマベスト10

あくまで「今年日本で配信開始したドラマ」という括りでベスト10本を選出した。そのため、実際に本国での放送から数年経ったドラマもある。しかし、本国と日本のタイムラグは昨年に比べても圧倒的に少なくなってきたと感じた一年だった。 第10位「ハノーバー…

2017年 映画ベスト10

2017年の個人的映画ベスト10について。 第10位「ゲット・アウト」 米人気コメディアンのジョーダン・ピール初監督作は、笑いと恐怖の紙一重の差ギリギリを描いたエンタメホラー映画。古典ホラーをベースにしながら人種問題も取り入れた、2017年のアメリカの…

『キングス・オブ・サマー』 永遠だと思っていたあの夏について

この映画の事を書こうとすると、うまく言葉に纏まらない。でも書き留めて置かないと、朝起きた時には覚えていた夢が、断片となって徐々に消えていくように、この映画を観たときに感じていた気持ちも、いつの間にか忘れてしまいそうになる。その気持ちという…

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」ラストの曲に込められた意味

MARVELの中でも特に原作の知名度が低かったにも関わらず、大ヒットとなった「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」待望の続編、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」が日本で公開となった。 この無名に近いキャラクター達の作品がヒットした…

“Sorry about your life !” 「痛み」に寄り添うオージー産傑作ゲイドラマ『プリーズ・ライク・ミー』の魅力とは

「海外ドラマ」と言うと、どうしてもアメリカ産ドラマをイメージしてしまいがちだし、実際アメリカからは毎年どんどん面白いドラマが発信されているのも事実。しかし、そんなアメリカンドラマに引けを取らない傑作が、オーストラリアから誕生した。それが「…

2016年 映画ベスト10

2016年のベスト10について書きます。今年も豊作でした。 10位「君の名は。」 今年最大のヒット作を冷やかし半分で観に行って号泣。あの日、あの時、あの場所で出会った人を救うために奔走する後半の展開は、まるで「オーロラの彼方へ」や「エターナル・サン…

2016年 海外ドラマベスト10

昨年以上に作品数が豊富だった2016年。去年は15本程度だったが、今年はその倍以上の作品を観ることができた。その中から今年のベスト10本を選出した。 10位「ワン・ミシシッピ 」(シーズン1) Amazonオリジナルシリーズ。スタンダップコメディアンのティグ…

プレイリストで振り返る2016年の映画とドラマ

2016年に観た映画とドラマの中で流れて印象的だった曲(僕がプレイリストでヘビロテしていた10曲)とともに、それぞれの作品を振り返りたいと思います。 Good Girls / Elle King (個人的に)今年一番の重要作の『ゴーストバスターズ』から。エンドロールま…

『ブレイキング・バッド』と『逆噴射家族』について~ブレイキング・バッドが影響を受けた日本映画

前回『ブレイキング・バッド』のシーズン2について書いた中で触れた傑作エピソード第10話「Over」と、製作側が(恐らく)影響を受けていると思われる日本映画『逆噴射家族』ついて書きたいと思います。以下ネタバレあり。 第9話「4 Days Out」のラストで、ウ…

第68回エミー賞受賞作についての雑記

今日行われた第68回エミー賞の授賞式の感想について。今年は番狂わせも多く、そんな意味でも楽しい授賞式でした。 今回の各主要部門の受賞結果は以下の通り。 【ドラマシリーズ部門】〈作品賞〉「ゲーム・オブ・スローンズ」〈主演男優賞〉ラミ・マレック 「…

第68回エミー賞ノミネートについての雑記

今年エミー賞ノミネートについて予想しました。未見のドラマ、エピソード等は排してるのでかなり偏った予想です。 【ドラマ部門】 〈作品賞〉 The Americans (FX)Better Call Saul(AMC)Downton Abbey(PBS)Game of Thrones(HBO)Homeland(Showtime)House of Ca…

『ブレイキング・バッド』シーズン2とバタフライ効果

「バタフライ効果」をご存知だろうか。「北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起きる」という話からその名が付いた現象のことで、関係ないと思われるような初期の小さな要因が、将来の結果に大きな影響を及ぼすことを表している。そんな些細な事柄によ…

リブート版『ゴーストバスターズ』を観た!

「ポール・フェイグがクリステン・ウィグ、メリッサ・マッカーシーらを起用してゴーストバスターズの新作を撮る」というニュースが報じられてからひたすら楽しみに待っていたリブート版『ゴーストバスターズ』。その感想を極力ネタバレ無しで書きます。 前回…

リブート版『ゴーストバスターズ』の批判について思うこと

今年公開を控えた「ゴーストバスターズ」の新作の予告が、YouTube史上最も低評価を受けた映画予告編となったらしい。そのコメントの多くが「なんで女性なんだ」とか「誰だよこのおばさん達」みたいな批判だ。そう、今回のリブート版バスターズは全員女性なの…

ぶっ飛んだファミリードラマ『Weeds〜ママの秘密』が最高に面白いワケ

遂にNetflixに「Weeds〜ママの秘密」が来た。21世紀最高傑作のテレビドラマは「ブレイキング・バッド」だと思ってるが、個人的な好き度で言えば圧倒的にコッチ、「Weeds」だ。主人公は、夫を突然亡くした主婦ナンシー・ボトウィン。中流階級が集まる架空のカ…

2015年 海外ドラマ大賞

今年面白かった海外ドラマを部門別でまとめました。【作品賞】・コメディ部門『トランスペアレント』シーズン1 今の時代を描きながらもクラシックな家族ドラマだった。詳しくは以前の記事で。Amazon制作の異色のコメディドラマ『トランスペアレント』 - 悪魔…

2015年 映画ベスト10

2015年の映画ベスト10をまとめました。1位「わたしに会うまでの1600キロ」時間軸をバラバラに切り刻んで展開することで、主人公のトラウマを観客も追体験する事になるヘビーロードムービー。監督の前作「ダラス・バイヤーズ・クラブ」より演出が冴えまくって…