悪魔の吐きだめ

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リブート版『ゴーストバスターズ』の批判について思うこと

今年公開を控えた「ゴーストバスターズ」の新作の予告が、YouTube史上最も低評価を受けた映画予告編となったらしい。
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そのコメントの多くが「なんで女性なんだ」とか「誰だよこのおばさん達」みたいな批判だ。そう、今回のリブート版バスターズは全員女性なのだ。しかし、今回の企画はむしろかなり正統派なリブート企画だと思っており、ゆえに「女性だから」という理由でここまで批判するのは大きな間違いだ。

まず、主要キャストがサタデー・ナイト・ライブのメンバーで構成されているということ。
オリジナル版のメンバーだった、ビル・マーレイダン・エイクロイドは、アメリカの老舗コント番組「サタデー・ナイト・ライブ(以下、SNL)」の当時レギュラーだったコメディアン。元々予定ではダン・エイクロイドは同じくSNLのメンバーだったジョン・ベルーシと組んで企画していたのが今作。ウィンストン役も本当はアーニー・ハドソンではなく、同じく当時SNLメンバーのエディ・マーフィーが務める予定だった。(マーフィーはビバリーヒルズコップ出演のため降板)

そして以下が今回の新メンバー。オリジナル同様にSNL出身、もしくは現レギュラー等で構成されている。

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SNLレギュラーメンバーSNL開始当初からのプロデューサー ローン・マイケルズから「SNL史上3本指に入るコメディアン」と言わしめたほど、多芸の持ち主。番組卒業後も自ら脚本を務めた「ブライズメイズ」に主演し大ヒット。他にも「オデッセイ」など大作にも出演。

ケイト・マッキノン
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現在も活躍するSNLレギュラー。クリステン・ウィグ卒業後、いま番組を引っ張っているのは彼女。エミー賞にもノミネートされるなど実力も申し分ない。十八番は、ヒラリー・クリントンのモノマネ。

レスリー・ジョーンズ
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マッキノン同様に、現SNLメンバー。出演前はずっとSNLの脚本家として番組に携わっていた。その大柄な体格はさながら米版和田アキ子。その体格を生かして今作の予告でもビンタ除霊していた。

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彼女のみSNL出身ではないものの、ホスト(司会)として番組には度々出演し、ウィグとは「ブライズメイズ」で共演済み。洗面台でウ○コしてオスカーにもノミネートされた。

以上のオリジナルを汲んだSNLメンバー、かつ今が旬の4人が共演してるというだけで、面白さは保証されたも同然。
そして、今回監督を務めるのは「ブライズメイズ」でウィグやマッカーシーともタッグを組んでいたポール・フェイグ。「ブライズメイズ」はそもそも、今やコメディ界の重鎮となったジャド・アパトーが得意としていた「ブロマンスコメディ」(ブラザーとロマンスを掛け合わせた造語)を女性にも焦点を当てて「女ブロマンス」を作ろうと企画したところから始まった。これまで女性向けコメディはいわゆる「ラブコメ」モノばかりだったが、三十路女の抱える問題をリアルに下品に描いたことから、女性だけでなく男性にもウケて作品は大ヒットした。その後も女性バディムービー「デンジャラス・バディ」を手掛け、こちらもヒットを飛ばすなどそのコメディの手腕は証明されている。

ちなみに、今回のリブートが発表された際に、配給のソニーが「同タイミングで男性版のゴーストバスターズも製作する」なんて発表が流れたけど、あまりに馬鹿馬鹿してく鼻で笑ってしまった。この企画こそあまりに無意味、かつステレオタイプ的。(しかも主演にチャニング・テイタムを起用するなんて話だから聞いて呆れる)

今回のようなファンが多い作品だからこそ、少なからずの批判は仕方ないにしても、女性だからという理由だけで批判するのは大きな間違い。今や「マッドマックス」や「スター・ウォーズ」の続編も主役は女性。コメディも同様に、男性優位の時代は終わったのだ。
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(補足)
ちなみに、オリジナル版でアニー・ポッツが演じていた秘書役を、今回は逆にクリス・ヘムズワースが演じるのもツボ。この男女逆転バスターズをポール・フェイグがどうコメディに活かしていくのか今から本当に楽しみである。