悪魔の吐きだめ

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恋愛と依存についての自伝的コメディドラマ「フィール・グッド」

今年Netflixでスタートした「フィール・グッド」を鑑賞。近年でもかなりピュアでシンプルなラブストーリーだった。

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アメリカのドラマには、「スタンダップコメディアン自らの悲喜交交の体験談をドラマにしました。」というジャンルがある。ジェリー・サインフェルドの「となりのサインフェルド」やルイスC.K.の「Louie」、最近ではピート・ホルムズの「クラッシング」、ティグ・ノタロの「ワン・ミシシッピ」などがあり、今作「フィール・グッド」もその一つ。実際にスタンダップコメディアンとして活躍するメイ・マーティン自らの実体験を描いたドラマだ。

ステージに立つメイは、いつも彼女のステージを最前列で鑑賞しているジョージと付き合いはじめる。この2人の恋愛関係がドラマの軸となるのだが、夢中になると一直線のメイが好きになる相手は、性別を問わない。対するジョージはこれまで異性としか恋愛経験がなく、はじめてのメイとの恋愛に戸惑う。

昨今LGBTのラブストーリーは珍しくないが、好きになる性別を問わないメイというキャラクターと、セクシャリティを重要視するジョージというキャラクターの関係性の描き方は新しく感じる。

さらに、実はメイは薬物に依存していた過去があり、依存対象がドラッグから恋人に変わっただけではないかという事実に直面する。

そんな2人の会話や周囲に対する態度などのちょっとしたすれ違いの拾い方が丁寧で、特にラスト2話のお互いの気持ちをぶつけるシーンにはホロリとさせられる。

「LGBTQの恋愛」という前置きは置いておいて、何よりも「好き」という気持ちを知るカップルのピュアな恋愛模様として、そしてウィットに富んだ台詞が飛び交う非常に良質なコメディドラマとして多く人に観てほしい一本。

 

ちなみに彼女のスタンダップコメディの舞台は、同じくNetflixの「世界のコメディアン」というシリーズで観ることができる。彼女がいかに「依存」してきたかが面白おかしく語られるので合わせて観るのがオススメ。