悪魔の吐きだめ

映画とかドラマとかのことを書いてます。

2020年 ドラマベスト10

毎年恒例の今年観たTVドラマのベスト10の個人ランキング。

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第10位「ミッドナイト・ゴスペル」(Netflix

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「アドベンチャータイム」のペンデルトン・ウォードが仕掛けたサイケデリック瞑想アニメ。劇中で描かれるサイケデリックなアニメと極彩色の世界観とはまた別に、そこで交わされる会話はまさかの哲学についてというとんでもない作品。毎回ゲストを招き聞いていくラジオ(ポッドキャスト)的な面白さがあるのだが、最終話に主人公が母親と交わす人生と死にまつわる話がとても泣ける。

 

第9位「フィール・グッド」(Netflix

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近年増えているコメディアンの実体験を基にしたコメディドラマ。ガールフレンドとの恋愛と薬物に依存してしまう主人公のメイ・マーティンの葛藤が描かれるが、何より今作の魅力はそのピュアなラブストーリー。マーティンの恋人への真っ直ぐな気持ちや行動に笑いながらも切なくなる。

詳しくは以前書いた下記も併せて。

 

第8位「アップロード」(Amazon Prime

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「The Ofiice」のクリエイター、グレッグ・ダニエルズが久々に手掛けたドラマとして注目を集めた本作は、死後の世界がデジタル化された近未来で、階級(課金)に縛られて死後も生活しなければいけないという「ブラックミラー」的アイロニーに溢れたコメディドラマ。これがとにかく「インターネットあるある」ネタが詰め込まれていて面白い。今作がAmzonというプラットフォームから配信されていることもなかなかイキだとは思うが、いまIT界を牛耳るAppleあたりが配信すれば更に話題になっただろうと思う。

こちらも詳しくは以前書いた下記を。

 

第7位「ダーク」シーズン3(Netflix

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ドイツ発のSFサスペンスは、とにかく多い登場人物のメロドラマが複雑に絡み合い、本筋が分かりそうで分からないまま2シーズン続いていたが、今季ファイナルシーズンでの伏線の回収は見事としか言いようがない。キャラクターの家系図は必須だが、タイムトラベルの悲劇を描いた秀作として必見。

 

第6位「ふつうの人々」(Hulu)

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アイルランドの美しい風景と、くっついては離れてを繰り返す男女を描いた今作。すれ違い、ぶつかり合い、その度に泣きじゃくる“弱い2人”にいつしか観てる側も自身を重ね合わせてしまう。決して明るい話ではないし、鬱々とした場面が多いのだが恋愛の上っ面だけを描かない、リアルで重たいラブストーリーとして目を背けずに観る価値のあるドラマ。

 

第5位「サクセッション」シーズン2(HBO)

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一言で言えば、“高尚なフリしたギャグドラマ”。その枠組みがより分かりやすくなって断然前季より楽しい。笑えるサスペンスとしても十分面白いのだが、シーズン終盤にかけてキャラクターが転落して話が尖っていく様が、初期の頃の「Veep」や「シリコンバレー」を彷彿とさせ、これぞ本当の意味で後継者(succession)だなとしみじみ思う。

 

第4位「シッツ・クリーク」シーズン6(Pop)

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正直言うとシーズン初期の頃はあまりノれなかったが、まさにドラマと共にキャラクターが育つとはこのことで、町の住民を含めた登場人物全員が掛け合い、笑い合う姿がいつの間にか愛おしくなっている。特に後半のデヴィッドとパトリックのドラマと、アレクシスが独り立ちするストーリーにはグッときてしまう。エミー賞でも満場一致で全主要部門を制覇した、今年を代表するエモーショナルで優しくて愛すべきドラマだろう。

 

第3位「ベター・コール・ソウル」シーズン5(AMC)

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ブレイキング・バッド」から分岐した物語として決して越えることが無かった一線を遂に越えてしまった今季のソウル。シーズン4と対をなすラストに戦慄しつつも、これこそが今作で描きたい物語なのだと分かる。「ブレイキング・バッド」の頃より、ショーランナーのヴィンス・ギリガンは「選択と結果の物語」と言っていたが、まさにキャラクターが選んだ道とその結果が及ぼす影響(それが自分だけでないという点も)を集約した第9話「Bad Choice Road」こそこのシリーズを表す回であり、今年を代表する屈指の傑作エピソードでもあった。

 

第2位「テッド・ラッソ」(Apple TV+)

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コメディアン、ジェイソン・サダイキスが主演兼ショーランナーを務めた今作。サダイキス演じる新任監督ラッソのハイテンション芸で進むかと思いきや(これだけでも十分面白いのだが)、その裏に見え隠れする悲哀に満ちたエピソードと、弱小サッカーチームが団結していく様がベタではあるもののスポ根ドラマに胸が熱くなる。サダイキス自身の新境地でもあり、監督デビューした妻のオリヴィア・ワイルドと共に才能ある2人に今後も注目したい。

 

第1位「私の“初めて”日記」(Netflix

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今年のナンバーワンドラマは、ミンディ・カーリングがショーランナーを務める万人にオススメしたいぐらい面白くてウェルメイドなコメディの今作。字幕じゃ拾えきれないぐらいセリフの端々に近年のカルチャーネタが出てきて笑えるし、そうでなくとも個々のキャラクターの奮闘していく姿に笑いながら心打たれてしまう。文化的な葛藤もさり気なくドラマの一部として昇華してしまうあたりも10年代の学園コメディとして非常に優れていた。

 

次点は、「YOU」シーズン2、「アフター・ライフ」シーズン2、「クイーンズ・ギャンビット」、「デッド・トゥ・ミー」シーズン2、「ウォッチメン」、「セックス・エデュケーション」シーズン2。