「スパイダーマン : ノー・ウェイ・ホーム」を観た
「スパイダーマン : ノー・ウェイ・ホーム」をようやく観た。「ネタバレ厳禁」が強く喧伝されていたものの、アメリカでの公開からタイムラグがあったせいでYouTubeやらニュースサイトでネタバレを食らってしまうということもあり、公開前にはおちおちネットも開けない状態だった。
そうして「ようやく」観た後の感想を一言で言えば、「めちゃくちゃ楽しかった」である。とは言え手放しで褒められるかというとそんな事は無くて、うーん・・・と思う不満もTwitterには書けないので、ここに感想を書いていきたい。
(以降ネタバレあり)
やっぱり興奮したのは、トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールドの先代スパイダーマンの登場、かつ垣根を越えて3人が揃うという展開だったのは間違いない。スパイダーマン自体に思い入れがそこまである訳ではないが、サム・ライミ版を公開当時に観ていた身としては、出会うはずの無いスパイダーマンの歴代3人が揃う展開は本当に胸が熱くなった。
しかし、折角揃ったのにそこで生まれる会話やドラマが少し物足りないと感じてしまった。まず、アンドリュー・ガーフィールド、トビー・マグワイアが登場する場面、この2人のやり取りを見たいのに、ネッドとネッドの祖母のやり取り(コメディ)がノイズに感じてしまう。(ましてやネッドの祖母は初登場であるし・・・)
続く、トム・ホランドと合流した後の理科室のくだりもストーリーが停滞してしまい、高揚感も持続せずになんだか、、、楽屋話を聞いてる気分になってしまった。
そして何よりもジョン・ワッツのアクション演出力不足。テンポは良いのだが、せっかく3人揃ってのスパイダーマンなのに目を見張るようなアクションが無いのが本当に残念だった。(もしサム・ライミが撮っていたら・・・と観ながら想像してしまった)
こうした不満はあったものの、 「アメイジング」で最後に亡くなったグウェンの後悔(続編が作られなかった故に中途半端になった話)をガーフィールドのスパイダーマンが救うことで“救済”したり(この時のガーフィールドの演技が本当に最高!)、歴代ヴィランたちを牽引するウィレム・デフォーの全く衰えない最狂の演技が観れたりと楽しめた部分の方が圧倒的に多い。
脚本を手掛けたのは、エリック・ソマーズとクリス・マッケナの「Community」のコンビ。よくある30分のシットコムかと思いきや、メタ構造やタイムリープネタで他に類を見ないコメディドラマ出身の彼らは、前作の「ファー・フロム・ホーム」でもトリッキーなツイストを用意していたが、今回もまぁよくもドラマ同様にこんなめちゃくちゃでファンフィクションのような話を仕上げたものだと改めて驚く。
トム・ホランド演じるシリーズは今作で最後のようだが、3人の「スパイダーマン」が揃い踏みし、これまでの敵を成仏するという展開は、“親愛なる隣人”という名に相応しい最終作だったと思う。
エンディングで流れるのは、デ・ラ・ソウルの「The Magic Number」という曲。
その歌詞を見ると、
“3 That's the Magic Number”
3、それは魔法の数字
“Without my 1 and 2 where would there be My 3”
1と2がなければ僕の3番目は存在しないんだよ
という歌詞が先代のスパイダーマン(マグワイア、ガーフィールド)あっての今がある、という内容とリンクして聴き返すと更に泣けてきてしまう。