悪魔の吐きだめ

映画とかドラマとかのことを書いてます。

2019年 映画ベスト10

毎年恒例の今年劇場公開された映画の年間ベスト10。

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第10位「ファイティング・ファミリー」

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ティーヴン・マーチャントが「ジ・オフィス」の放送から20年近く経ってもなおも描き続けるのは“人生を諦めた者の物語”。WWEのオーディションに合格してプロレス女王を目指すペイジと、挑戦を続けるも一向に芽が出ない兄のザック。「ザ・ファイター」を彷彿とさせる兄弟のドラマとマーチャントの得意とする現実から抜け出せない焦燥感が合わさった秀作。


第9位「ラスト・クリスマス

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ポール・フェイグはやっぱりロマコメを描かせるとピカイチだ。ダメな主人公と完璧な王子様。彼女が困っているときに必ず彼は現れる。そしてその先に待つラストと共に流れるワムの「Last Christmas」で号泣。2010年代の最後にこんなにもオーソドックスで丁寧で美しいコメディが観れて本当に幸せだ。


第8位「マイ・ブックショップ」

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田舎町で本屋を開く女性を待ち受ける災難の数々。本がきっかけで救われる一方で、本がきっかけで窮地に陥る。その受難に耐え得る主人公演じるエミリー・モーティマーの姿が「奇跡の海」のエミリー・ワトソンと重なる。近年で特に田舎のヤダみが出ている一本でもある。


第7位「ホット・サマー・ナイツ」

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夏と90年代とティモシー・シャラメ。(加えてジョナサン・リッチマン)。この組み合わせだけで脳内は完全に気怠い夏休みに逆戻りだ。ティーン小説や青春犯罪映画をサンプリングしたダークなサマームービー。


第6位「アベンジャーズ/エンドゲーム」

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前作「インフィニティ・ウォー」の鬼畜なラストに「後編は不要」と思っていたが、ダークな展開になりそうなところを過去のSF映画を下敷きにした良い意味での“チープさ”が心地良い快作となっていた。今年はアベンジャーズだけでなく、スター・ウォーズゲーム・オブ・スローンズの10年代を代表するエンターテインメントが続けて終焉を迎えたが、最も成功した完結篇はエンドゲームだろう。


第5位「マリッジ・ストーリー」

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いつもノア・バームバックの映画を観ていると笑いながら泣きそうになるような不思議な感情になる。「500日のサマー」のように惚れてた仕草が憎らしく思うようなことはなく、何年も共にした夫婦にはお互いにお互いの好きな所はある、にも関わらず憎しみ合わないといけない辛さ。きっと今観て感じた面白さと何年後か経ってから観る時の印象は違うだろう。


第4位「フロントランナー」

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ジェイソン・ライトマンからの「ペンタゴン・ペーパーズ」に対する宣戦布告。計算された長回しとライティング効かせた陰のショットなど鳥肌の立つような美しいシーンとともに、猥雑な会話劇とキャストの見事なアンサンブル。シリアスとコメディが絶妙にマッチしたライトマン印の新しい傑作が誕生した。

 


第3位「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

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タランティーノの“タラれば”物語として今年一番でめちゃくちゃ楽しかった映画だった。周到にフラグを立てながら拍子抜けするような展開に爆笑しつつ、そこで明かされるタイトルの意味で鳥肌が立った。いつだってタランティーノは映画を信じ続けるのだ。

 


第2位「荒野にて」

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アンドリュー・ヘイが描いた無垢な少年が様々な人々と出会いな居場所を求める物語。主人公の行く先々で待ち受けるのは厳しい現実だが、それでも彼は自らの居場所を求めて進んでいく。大きな事件も展開もない映画であるのに、心の機微を丁寧に厳しくも優しい目線で捉えられ、荒野を進む1人と1匹の背中に見える孤独さに胸が何度も苦しくなった。

 


第1位「ハウス・ジャック・ビルト」

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元々高かった期待値を遥かに上回ったラース・フォン・トリアーの今作がやっぱり今年のベスト1位。モラルガン無視で突き進み、コメディからサスペンスまでジャンルを横断する凄さ。その先で主人公ジャックとトリアー自らを重ね合わせて過去の過ちを反省するのかと思いきや、開き直って自らをさらに地獄の底に突き落とす爽快さ。ただひたすらに最高だった。