悪魔の吐きだめ

映画とかドラマとかのことを書いてます。

クリープハイプのライブに行ってきた

f:id:delorean88:20150326011905j:plain
先日クリープハイプのライブに行ってきました。彼らのライブは初めてだったし、そもそもライブ経験も少ない僕ですが、彼らのライブがすごく印象的だったのでちょっと書きたいと思います。

会場は千葉県の市川市文化会館。「一つじゃつまらないから、せめて二つぐらいやろう 後編」と銘打たれたコンサートツアーの初日。
一曲目に「HE IS MINE」を持ってくるなど(「HE IS MINE」は彼らの曲の中でもライブを盛り上げる定番曲。サザンで言えば「マンピーのG★SPOT」のような立ち位置)、かなり挑戦的にスタートしたライブだが、新旧の曲を織り交ぜながら安定したライブを見せつけた。

そんなライブの中で印象的だった事の一つが、長谷川カオナシの存在である。クリープハイプはこれまでは正直ボーカル“尾崎世界観”のバンドであった。ベースの長谷川カオナシは、アルバム内でボーカルをとることが以前からあったがその存在が浮いた感はしないでもなかった。しかし今回の長谷川カオナシは、しっかりともう一人のボーカルとしてそこにいた。「のっぺらぼう」や初期の曲「火まつり」、また尾崎との掛け合いが秀逸な「そういえば今日から化け物になった」やアンコールで演奏された「目覚まし時計」、そして次回のニューシングル「愛の点滅」のカップリング候補として紹介された新曲含め、尾崎世界観に引けを取らない歌を披露していた。これでクリープハイプはボーカルが2人いるバンドとなったと胸を張って言えるようになったと思う。

そしてもう一つが、クリープハイプのバンドとしての大衆性だ。これまでDVDなどでしかライブを観てこなかったが「ぶっきらぼうなバンド」だな、という印象が強かった。真摯に曲を伝えようとする余り少し観客に対して乱暴だなと感じる事があったからだ。だから今回MCなどで見せた観客との距離感の近さは少し驚いた。決して媚びを売っている訳ではなく、良い意味でより大衆的になった気がした。
特にMCで尾崎が「当たり前が嬉しい」と言っていたのが印象的だった。むしろこれまでは“当たり前”を忌み嫌うバンドだったし、今回のライブでもMC内で「こんなMCありきたりで嫌だなぁ笑」と自嘲する場面もあったけど、続けて「こんな当たり前なやり取りをずっと続けていきたい」と語っていた。数年前だったらこんな事絶対言わなかっただろうな。

そんな今回のライブで一番良かったのは、ラストで演奏された「ねがいり」だった。「これまで嫌な事も沢山あったけど、それも含めて“良い忘れ物”だった。これからももっと忘れ物を作っていきたい。」そんな紹介から始まったこの曲は、これまでの盛り上がりに対して、会場は不思議な静けさに包まれた。舞台の背後からライトで照らされた彼らの姿が、逆光で客席からは見えなかったから余計にそう感じたのか、“音楽”だけをしっかりとこちら側に聴かせようとしているように感じられた。この姿勢こそがクリープハイプらしさだと思う。

よく「好き嫌い」が分かれるバンドとして挙げられる事が多い彼らだけど、曲のキャッチャーさだったりそのクオリティ、そしてやっぱり尾崎世界観の個性は、もっと広く愛されても良いと思う。
クリープハイプ、ほんとに良いよ。

祝!Netflix日本上陸!

遂に!遂に!Netflixが日本上陸!というわけで今回は日本で配信してほしいドラマを挙げてみました。

ちなみにNetflixとは、アメリカ人の4000万人以上が登録している最大手の動画ストリーミング配信サイト。そのコンテンツ数はHuluを凌ぐほどで、近年だとデヴィッド・フィンチャー製作の元、オリジナルドラマ「ハウス・オブ・カード」を制作してエミー賞を受賞するなど、今ノリにノッてる配信サービスなんです。

そんなNetflixがいよいよ日本に!こりゃすっかり日本テレビの専門サービスになりつつあるHuluもやばいんじゃないの?なんて話はさておき、ぜひ日本で配信して欲しいドラマを紹介したいと思います。

 
【Netflixオリジナル番組】
1、「Orange is the New Black」
フィンチャーの「ハウス・オブ・カード」同様にNetflixがオリジナル制作した女子刑務所が舞台の実話ドラマ。幸せに婚約者と暮らすパイパー・チャップマンが、かつて麻薬の運び屋をしていた罪に問われ突然投獄。白人で良いとこ育ちのパイパーは口の悪い黒人やヤク中に虐められながらも、持ち前の明るさと機転の良さで困難に立ち向かう話。製作は美人ママが売人になってご近所にハッパを売りさばく「Weeds」のクリエイター、ジェンジ・コーハン。どんな困難にも笑顔で立ち向かう主人公と、それに伴ってどんどんビッチになっていく展開はまんま「Weeds」。刑務所モノながら重すぎず笑いに落とす手法と、アメリカじゃ「ハウス〜」より人気があるらしい。フラッシュバックでそれぞれのキャラクターがどうして投獄されたのかが話が進むにつれて徐々に明らかになるように作られてるから、嫌味なキャラでも同情しちゃうんだよね。うまい。日本でもひっそりとシーズン1がAmazon Instant Videoから配信されてたりするけど、シーズン2以降の配信の見込みがないのでここはNetflixさんにぜひ。
 
元々は米のFOXチャンネルで2003年から2006年まで放送されていたコメディドラマ。日本でも「ブル~ス一家は大暴走!」という邦題で放送されてた。放送当時、批評家からは絶賛されていたものの、視聴率は全く振るわず打ち切りに。しかし、放送終了後に主役のジェイソン・ベイトマンマイケル・セラらが映画で一躍人気となったおかげで再評価&根強いファンからカルト的人気を博し、Netflixが続編の制作を決定したのでした。
毎回強烈なキャラクターのドタバタ劇と、巧妙に練られた脚本がまさに実写版「シンプソンズ」なノリでほんとに面白かった。ちなみにこのドタバタ劇に対して淡々とキャラクターの心情を解説するナレーターはロン・ハワード。Huluでもシーズン1~3まで一時期放送してたけど、その後は全く音沙汰ないのでぜひ。
 
3、「Wet Hot American Summer」&「Wet Hot American Summer:First Day of Camp」
今や人気スターとなったブラッドリー・クーパーやエイミー・ポーラー、ポール・ラッドの出世作コメディ!らしい。と、いうのも日本じゃ劇場公開はおろかDVD化すらされてないという由々しき事態。アメリカでもカルト的人気な本作をNetflixは8話からなるミニシリーズ化し、映画のキャストを再集結&クリステン・ウィグジョン・ハムなどのキャストも新たに起用するという豪華さ。もうこれだけでNetflixの集客力というか、資金力がわかりますね。ぜひ日本でもお願いします。

4、「Happy Valley」
これは正確にはNetflixオリジナルではなくBBC製作のドラマなんだけど、USではNetflixのみでの配信ということで一応。ストーリーは、中年のおばさん婦警が自分の娘をレイプして自殺に追い込んだ犯人を見つけ出すというかなりヘビーな内容。イギリスの国営放送ながら暴力描写も凄いらしいし、伏線を張った物語も話題になってサテライト賞やら昨年度のドラマ批評家のベストドラマにノミネートされたみたい。

以上っす。ほんとはまだまだたくさんあるんだけど一応Netflixオリジナル系ドラマという括りで。最低でもこれぐらいは配信されるだろう、という期待も込めて挙げました。
日本で既に始まってるHuluやU-nextなど最近少しずつ知名度が上がってきた動画配信サービス。やはりNetflixがこれらに差をつけるならば「コンテンツ数」と「コンテンツ力」だと思う。Huluが日本テレビに買収された後にモコズキッチンなど謎のラインナップに力を入れ始めて衰退していったように(とはいえ英国ドラマ「Utopia」をいち早く配信するなど頑張ってはいるけど)、Netflixも同じ道を辿らないか不安な面もあるし。
とはいえ現状コンテンツも何も発表されてないので、サービスが開始する秋まで首を長くして待ちましょうかね。
 

改めて『ブレイキング・バッド』について語りたい~シーズン1~

f:id:delorean88:20150209230348p:plain

 

ようやく重い腰を上げて「ブレイキング・バッド」について書く事にした。なんで重い腰になるかと言うと、それは言うまでもなく「ブレイキング・バッド」(以下BrBa)こそ海外ドラマ史上最も優れたドラマであり、個人的にも大ファンだからである。

散々Twitter含めて、会う人会う人に「BrBa」をオススメしてた。ようやく昨年にソニーからファイナルシーズンまでDVD化されたけど、数年前にシーズン2までが発売された頃から大ファンで、当時から声を大にして猛烈プッシュしてたものの、それ以降のシーズンは全くソフト化されなくて。。あの時はほんと苦しい思いをしてたなぁ。結局最初に「BrBa」を発売していたDaylighって会社はどうなったんだろうか。。

まあ、そんな話はさておき「BrBa」は本当にすごいドラマだと言うことを長々と書きたいと思います。先に言っておくけど、ネタバレ前提で語っていくので、未見の方はご注意を。

このドラマのシーズン1は、いわば物語の序章である。全ての物語のキッカケ(元凶)が描かれる。

主人公のウォルター・ホワイトは、高校の化学教師。妻と息子を支えるために安月給ながらも懸命に働いていたところ、突然倒れ、運ばれた先の病院で末期ガンを宣告される。そんな彼は家族にお金を残すために元教え子のジェシー・ピンクマンと手を組み、ドラッグ精製を始める。ってのが物語のはじまり。

少しお金を稼ぐために軽い気持ちで始めたドラッグビジネスは、だんだんと思わぬ結果となっていき血を血で洗う闇の世界に徐々にドップリ浸かっていくのだが、まだシーズン1ではその世界の恐ろしさを知ったウォルターの戸惑いが描かれている。

第1話には「ブレイキング・バッド」の面白さが全て詰まっている。師弟関係となるジェシーとの世代ギャップギャグ。妻スカイラーに対して秘密を抱える苦悩。そして化学の力を使って悪人に立ち向かう痛快さである。

脳性麻痺を抱える息子をいじめる不良を蹴り倒し、メスの精製に見せかけて毒ガスを発生させギャングを気絶させ、初の取引で大量に金を稼げたウォルターは、男を取り戻し帰宅後にスカイラーと激しくセックスする。初回からこんなにもブッ飛んでるドラマがあっただろか。しかもこれがコメディとして作られているのが驚きである。加えて、アルバカーキの乾いた荒野と澄み渡る青空の風景を捉えた画作りが、この暴力的な物語とマッチし、なんだかコーエン兄弟の「ファーゴ」の荒野版を見ているようだ。(実際、かなりこの映画には影響を受けているらしく、今シーズン最終話のタイトル「A No-Rough-Stuff-Type Deal」は、「ファーゴ」の台詞から取られている)

 

今シーズンでパイロットの他に特筆すべきエピソードは、ウォルターが悪に振り切れた第4話「Cancer Man」と第6話「Crazy Handful of Nothin'」である。

第4話「Cancer Man」では、ウォルターはガンを宣告された事を家族に告白する。このシーンは涙無しでは見られないほど役者陣の演技が素晴らしいのだが、このエピでは、もう一人のCancer Manが描かれる。タイトルが意味するのは、ガンを患った男=ウォルターと、社会的にガンのような奴=ケンである。

銀行の列を割り込みし、ハンズフリーで大声で話すケンという男を見かけたウォルターは、不快に思いつつも何も言えなかったが、たまたま入ったガソリンスタンドで彼の姿を見かける。彼が車から離れた隙に彼の愛車のボンネットに濡れたモップを突っ込み、バッテリーをショートさせて車ごと爆発させる。

もうこのシーンがマジで最っ高にカッコイイんだよね。

爆発を背に立ち去るところとか、戦隊ヒーローみたいだし。忌々しい“Cancer”を吹っ飛ばすウォルターの姿に爽快感を感じると同時に、ここに来てより悪の道に一歩踏み出したな、って印象を受けた。ちなみにここで流れるDarondoのDid't Iって曲も渋くて超カッコイイっす。

 

第6話「Crazy Handful of Nothin'」では、さらに多くの金を必要とするウォルターは、そのシマを取り仕切るギャング、トゥコに接触するようにジェシーに持ちかける。しかし凶暴なトゥコは、メスだけ奪いジェシーをボコボコにする。キレたウォルターは今となってはお馴染みのスキンヘッドスタイルになり、単身トゥコのアジトに殴り込むのだが、もちろんただじゃ済まさないホワイト先生。メスに見せかけた雷酸水銀という爆発性のある化合物を床に叩きつけて、アジトを丸ごと爆破!

 丸刈りの父親を見たウォルターJrは、「Badass Dad !」って言ってたけど、本気でBadassになった瞬間である。。恐るべき化学の力。この「ペンは剣より強し」的なバトルも「BrBa」の魅力なのである。最高。

 

長くなったけどシーズン1から、コメディありドラマありグロありのスタイルが確立されており、5年後の最終話まで「BrBa」のそのスタイルは揺らぐことはない。これは当初からクリエイターのヴィンス・ギリガンが描きたい明確なビジョンがあったからなんだな、と再認識できる。

そしてシーズン2では、1を遥かに越える展開でウォルターとともにドラマ自体が怪物と化していく。。というわけでシーズン2についてはまた後日。

 

 

ゴールデングローブ賞ノミネートの新作海外ドラマが面白そう

2015年の最初は、気になるテレビドラマについて。
最近は日本でも、Huluが普及し始めたりしたおかげで、本国とタイムラグなく日本でもドラマが観られたりするようになった。それについては本当にありがたいんだけど、まだまだ米国で高評価のドラマが観られなかったりしてる。
そこで、先日発表されたゴールデングローブ賞のテレビ部門から特に初ノミネートされた新作ドラマに注目してみたいと思います。


まずは、ドラマ部門

“ The Affair,” Showtime
“Downton Abbey,” PBS
“Game of Thrones,” HBO
“The Good Wife,” CBS
“House of Cards,” Netflix


「ダウントンアビー」、「ゲームオブスローンズ」、「ハウスオブカード」はもはや常連って感じ。「ブレイキング・バッド」がいなくなった今ようやく日の目を見るか。「グッドワイフ」もまだまだ熱いね。

ここで気になるのが新作「The Affair」
f:id:delorean88:20150101223202j:plain
タイトル通り男女の不倫の話なんだけど、ある事件の取り調べによる回想形式で話が進むみたいで、双方の視点による証言の食い違いで、どんどん謎が深まるんだとか。
クリエイターは「ハウス・オブ・カード」のサラ・トリム。回想形式で進む話は「True Detective」みたいだし、主役はみんな大好き「The Wire」のドミニク・ウェスト。なんだか米ドラマの美味しい要素が詰まってるようですごく面白そう。

一方、ミュージカル/コメディ部門は、以下の通り

“Girls,” HBO
“Jane the Virgin,” The CW
“Orange is the New Black,” Netflix
“Silicon Valley,” HBO
“Transparent,” Amazon Instant Video


ここで注目したいのが、「Jane the Virgin」と「Transparent」の2作が、賞レース初ノミネートのCW局とアマゾンのネット配信サービスAmazon Instant Video制作のドラマだということ。

f:id:delorean88:20150101223346j:plain
「Jane the Virgin」を放送するCW局は、日本でもお馴染み「ゴシップガール」や「ヴァンパイアダイアリーズ」とかティーン向けドラマを連発してるテレビ局。故に若年層からの支持は熱いけど、賞レースには無縁で、四大ネットワーク局と言われる、NBC、CBS、FOX、ABCからは離れた存在だった。それが今作で開局以来初のノミネート。
物語は、処女の女の子ジーナ・ロドリゲス演じるジェーン(同作で主演女優賞にもノミネート)が手違いで人工授精で妊娠しちゃうって話。なんともぶっ飛んだ話だけど、オリジナルはベネズエラの昼ドラなんだとか。ドロドロのメロドラマをアメリカテイストにアレンジしてるみたいで、ノリはアグリーベティってところなのかな。
近年、ケーブル局&ネット配信ドラマにほぼ独占されてる賞レースにネットワークの意地を見せたのがまさかのCWだとは。。もう馬鹿にしません。

もう一本がAmazon Instant Videoが制作する「Transparent」
f:id:delorean88:20150101223243j:plain
Arrested Development(邦題:ブル〜ス一家は大暴走!)」でメチャクチャな父親役を演じたジェフリー・タンバーがトランスジェンダーをカミングアウトした父親を演じるファミリードラマ。こちらもやたらと評価が高くて、エンターテイメント・ウィークリー誌が選ぶ2014年のベストドラマの第1位にも選ばれるほど。近年のネット配信ドラマサービスの先駆け「Netflix」に追いつけ追い越せと始まったアマゾンのオリジナルドラマサービス。当初は「ゾンビランド」のドラマシリーズを制作して酷評浴びたりしてたけど、ここに来てグンと注目度が上がったねぇ。
これまで光の当たらなかったこの2局の健闘が楽しみ。

昨年のゴールデングローブ賞&エミー賞で、近年の米ドラマの最高傑作「ブレイキング・バッド」のファイナルシーズンが作品賞受賞という有終の美を飾って終わり、なんだかアメリカドラマの歴史が一区切りついた感も否めなかったけど、こうやって見てみると、まだまだ面白そうなドラマがたくさんあるね。今は日本でも「24」以来の海外ドラマブームが来てるみたいなので、これを機にもっと沢山のドラマが日本でも観られるようになるといいなー。

2014年映画ベスト

f:id:delorean88:20141229172218j:plain

2014年ももうすぐ終わりですね。毎年Twitterでもやってるけど今年も私的映画ベスト10、やります。ダントツでこれだー!っていうより、どれもこれも素敵な作品が多かった印象。ではでは、


第10位『マチェーテ・キルズ』
ぶっちゃけ今となっては細かい話は覚えてないものの、最高に笑えて楽しかったマチェーテ。一作目が馬鹿コメディのくせに無駄に人種問題とか入れたせいで中途半端だったけど、今作は豪華俳優陣を無駄使いした完全に頭悪い映画だったのでほんと最高でした。一生こんな映画観ていたい。
あと、なんだか年々若々しく、且つ筋肉質になっていくトム・サヴィーニ師匠も要チェックです。てかあなた特殊メイクアーティストでしょ。

ウディ・アレン監督の新作。ブルジョアの話にノレるか不安だったものの、そこに見える孤独はあまりにも痛々しくて、笑えなさそうで、笑えるラインが絶妙で、そこはやはりケイト・ブランシェットの演技の賜物だなぁ、と。

第8位『イントゥ・ザ・ストーム』
2014年一番のダークホース。よくあるディザスター映画かと思いきや、今持てる技術をフルに使った、マジでド迫力の嵐に死ぬほどビビった。映画館で観なきゃ意味がないってことでは今年の「ゼログラビティ」。
今作の4DX上映は、本当に雨風吹き荒れる阿鼻叫喚の最狂地獄上映だったらしいです。行きたかった。

第7位『GODZILLA
実はエメリッヒ版ゴジラも嫌いじゃないし、寧ろ好きなぐらいな僕ですが、今作も面白かった。照明弾撃った先にゴジラの脚が見えたり、モノレールの電灯が一つずつ点いた先にMUTOが現れたり、「見せる」「見せない」の演出がすごく良かった。

第6位『ニンフォマニアック vol.1 / vol. 2』
大好きなフォントリアーの新作は、ポルノ映画ってことで色んな意味でドキドキしてたけど、実はフォントリアー作品の中でもかなり見やすいタイプの映画でした。しかもコメディ。フォントリアーお得意のブツ切りカットもなんだかテンポ良く働いてかなり笑えるし。とはいえ、彼が一貫して描いている「極めて自虐的で純粋な女性像」は、今回(シャルロット・ゲンズブール)もほんとに痛々しかったなー。まあそれがこの監督の魅力なんだけど。

第5位『her 世界でひとつの彼女』
こちらも好きなスパイク・ジョーンズということで、かなり楽しみにしてたけど、その期待を上回る面白さだった。今作の前に撮った短編「I 'm Here」の延長線上にあるような作品で、非人間との違和感アリアリの話を超人間臭く描いた超純粋なラブストーリーなわけで、(前作はロボット同士)、その近未来感だったり、色使い含めすごく大切にしたくなる作品。しかしスパイク・ジョーンズ作品の主人公の孤独感は本当に毎回重ね合わせちゃって辛いなぁ。。

第4位『紙の月』
「桐島、部活辞めるってよ」の吉田大八監督の新作は、その「桐島」を優に超える傑作。サスペンスとしても凄く良く出来てるんだけど、細かい人物像や演出で物語を語る、観客に読み取らせる手法は映画的というか、今の邦画じゃ珍しいよなー。桐島の時からあったけど、あの時の台詞があってあの行動があるんじゃないかとか、あのシーンの意味は、とか観終わった後に色々語りたくなること必至。宮沢りえ小林聡美の関係が、前田と宏樹の関係性や最終的に辿り着く答えなど、話としても映画としても前作のその先に行ったなって印象。

第3位『インシディアス 第2章』
確か池袋のシネマサンシャインで観たんだけど、席はほぼ満席で高校生が多かったわけ。始まる前からガヤガヤ騒がしいし、本来であれば最悪の環境ですよ。でもね、今回は違う。だってホラー映画だから。しかもビックリ要素にひたすら徹した「インシディアス」ですよ。
結果終始キャーキャー叫び声が上がる最高のお化け屋敷環境になって、映画を何倍も面白くしてくれました。
しかも映画自体も前作のポルターガイストテイストを活かしつつ、前作を別角度から見せるという「BTTF2」的要素と伏線を張り巡らせたホラー映画らしからぬ巧妙な脚本に完全にやられた。

第2位『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
ただひたすら「楽しい」。2時間の間、自分が観てきた、自分が映画を好きになるキッカケになった映画を沢山思い出した。「ゴーストバスターズ」から「バック・トゥ・ザ・フューチャー」から「レイダース」まで、挙げたらきりがない。これらの映画を初めて観た時の衝撃、それをこの時代に、まさかこんなタイミングで追体験できると思ってなかったよ。紛れもなく「楽しい」映画だし、ずっと好きでいたい作品でした。最高。

第1位『LEGO(R)ムービー』
最高に笑わされて、最高に泣かされた。ひたすらシュールなギャグかましまくる前半から、最終的にまさかこんなテーマの映画になるとは思わなかった。子供心を忘れた大人の為に作られた完全なアダルト映画。そういう意味では、2014年の「かいじゅうたちのいるところ」であり、「リトルランボーズ」であり、「トイストーリー3」。間違いなく傑作です。

次点は、「LIFE!」「グランド・ブダペスト・ホテル」「6才のボクが大人になるまで。」「天才スピヴェット」などなど。

なんだか今年は忙しくて例年より観る機会は減ったし、一時期は本当に映画離れしてたんだけど、こうやって今色んな作品を思い返して、ジャンルは違えど映画ってやっぱり良いなぁ、って気付かされた一年だったなー、と。「インシディアス2」「ガーディアンズ〜」には映画館で観る楽しさ、「神の月」には映画本来の醍醐味に改めて気付かされたし。
来年も「バードマン」とか「ジュラシックパーク4」とか公開されるし今から楽しみだなー。わくわく。
来年はもっと映画観てTwitterもブログも頑張ろ。

ノーラン嫌いの僕が「インターステラー」を観た

もう前回の記事から1年経ってました。我ながら1日坊主っぷりがヒドい。。これからは頑張って更新します。

 
この前、友人と「インターステラー」を観てきた。

f:id:delorean88:20141221132421p:plain

まず最初に言うと、僕はクリストファー・ノーランが嫌いだ。
たとえば「インセプション」とかすごく良くできてる脚本だと思うけど、なんだか演出の裏に「俺の映画すごいだろ?お前ら一回観ただけじゃ分からないだろ?」みたいなドヤ顔が見え隠れしていてあんまり好きじゃなかったのだ。同じ理由で「ダークナイト」も世間一般程ノれなかった。
その一方で、バカアクション映画になり下がった(なり上がった?)「ダークナイトライジング」はちょー面白かった。だから、実はこの人インテリぶってるだけで、ほんとはもっと娯楽性の高い映画を撮りたいんじゃないかなぁとも思ってた。

それが今回の「インターステラー」では、そのインテリさと娯楽性がうまいバランスで組み合わさっており、僕みたいな頭の悪い観客も大変楽しめる娯楽大作になっていた。

四次元とか五次元とかそのへんの話はよく分からないけど、宇宙と地球で並行して錯綜する描写は大好きな「オーロラの彼方へ」のクライマックスを彷彿とさせてすごく興奮したし、何より「スターウォーズ」的惑星冒険モノとして行く先々の星によって、環境が全然違うってのも楽しかった。

加えて「相対性理論」における時間という新しい面白さもある。ある星は重力の影響で1時間は地球時間の7年。だから、数分経って戻ってきたらもう20年も経ってる。このときの観客の体感時間と映画の時間が合致してる分、地球では子供だった娘が成人してジェシカ・チャステインになってたときの浦島太郎的衝撃は、やはり映画でしか成し得ない体験だった。

でもやっぱり3時間近く上映時間は長かったなー。宇宙行く前の前半1時間はウトウトしてました。ごめんなさい。

あと、マン博士ね。蓋開けてデイモン出てきたら誰でもビックリするよね。あんなネタみたいな使われ方してて良かったのか。。笑っちゃったよ。退場の仕方といい完全ネタデイモンでした。

そんな意味でもすごく面白かったし、ノーラン作品の中では一番好きだったな。オススメっす。

『Dr.HOUSE』はマジで面白いからみんな観たほうがいいよ

ブログ一発目は海外ドラマのことから。

アメリカドラマの三種の神器と言われているのが、犯罪捜査モノ・弁護モノ・医療モノ。犯罪モノと言えば、『CSI』や『ボーンズ』とか、弁護モノだと『アリーmy Love』とか『プラクティス』、そして医療モノといえば、言わずと知れた『ER緊急救命室』がある。

この3つのジャンルはヒット間違いなし!の法則に乗ってたくさんのドラマが制作されてきた中で、じゃあ人気ジャンルの犯罪捜査と医療を合わせちゃえば面白いんじゃね?って始まったのが『Dr.House(原題:House M.D.)』なんです。そんな安易な…って思うかもしれないけど、これがめちゃくちゃ面白い。

話は毎回一話完結で、原因不明の病気で運ばれてきた患者をハウス医師率いるチームが診断→予想のもと治療→悪化→また治療...といった感じで進む。最初のころは患者にスポットを当て、まさにERプラスCSIって感じのドラマで始まったんだけど、これが段々とシーズンが上がるにつれて、『House』というタイトル通り、天才医師ハウスという人物の抱える問題に焦点を当てていくようになる。

ハウスは、全米屈指の診断医でありながら、口も性格も悪く、余命わずかな患者にすら辛辣な言葉を浴びせたりする。しかも、脚に障害を持っているため、麻薬性の強い鎮痛剤が手放せないジャンキー医師という、かなり異色なキャラクター。
そんなハウス先生だけど、誰に対しても全く態度を変えないのが逆に清々しく、ときに権力(シーズン1では理事長、3では警察)にまで歯向かう姿は、毎回ハラハラさせられるし、それでも抜群の観察力とひらめきで立ちどころに診断を下す姿は、まさに現代のブラックジャックで、なんだか魅力的に思えてくる。

患者のドラマが描かれる一方で(これだけでも非常に素晴らしいんだけど)、だんだんハウスの抱える問題が明らかになってくる。なぜハウスがここまで相手に横柄な態度を取り、心を閉ざしてしまうのか。それはトラウマがあったから、などというよくあるお決まりの過去があったからではない。ただ、傷つくことを恐れてしまい、人と接することを自ら拒んでしまうからなのだと分かってくる。

天才医師でありながらも、抱える悩みは誰しも身に覚えがあること。この人間関係で抱える「痛み」が、ただの医療ドラマに終わらず、物語に深みを与えているのだ。そのことに焦点を当てた後期シーズンの出来は非常に素晴らしく、これまでのテレビドラマの歴史に名を残すことは間違いない。

幸せになりたいと内心で思いながらも、いつしか彼の行動は、常軌を逸脱していく。シーズン5では、シーズン4の最終話で起きた衝撃的な事件がきっかけで、ハウスはこれまで以上に鎮痛剤に依存するようになり、幻覚を見るようになってしまうのだ。特に最終話に起こる出来事は『レクイエム・フォー・ドリーム』を思わせる超絶ホラー展開で鳥肌が立った。それはテレビドラマの主人公がここまで落ちていいのかと思うほどで、長年ハウスを観てきた視聴者にとっても辛すぎるものだった。

ラストでハウスは遂に精神病院に入院し、続くシーズン6ではハウスの再生が描かれるのだが、この初回の第1話(2部構成)はシリーズ屈指の神回で、独立した作品として観ても非常に優れている。さらにハウスをどん底まで落としながらも、希望を残す演出は『The Office』のクリスマススペシャルを思い出し号泣した。

Dr.HOUSE観てみたいけど、長くて億劫…」っていう人でも、このドラマの面白さはシーズン初回と最終話に集約されているのでそれだけでも是非観てほしい。
シーズン6最終話、続くシーズン7の初回もとてつもなく素晴らしいエピソードなので、また改めて書くことにする。

ちなみにこのドラマが大ヒットしたもう一つの理由が、ハウス先生演じるヒュー・ローリーの、これ以上踏み越えたら悪役になりかねないギリギリの演技のおかげ。身体と心の痛みを哀愁たっぷりに見せ、その一方でコミカルな演技もできるし(実は元英国コメディアン)、この演技だけでも見る価値アリです。