悪魔の吐きだめ

映画とかドラマとかのことを書いてます。

それでもやっぱりTVが好き!「リブート」

昨今の映画もテレビドラマも“リブート”作品が多い。
“リブート”というのは、過去にヒットした作品を新たな構成やキャストで作り直すことを指す。
リメイクとは何が違うの?と言うと、映画「ジェイ&サイレント・ボブ リブートを阻止せよ!」(Jay and Silent Bob Reboot)の中でこんなセリフがある。
リメイクもリブートもオリジナルのファンを冒瀆した金稼ぎ目的という意味では全く同じだ!

 

Hulu(日本ではディズニープラス)でスタートしたコメディドラマ「リブート」(Reboot)は、その名の通り往年の人気シットコムを“リブート”しようとする製作現場のてんやわんやが描かれる。

物語は、新進気鋭の女性脚本家ハンナがHuluに、10年以上も前に人気だったシットコムを現代風にアレンジしたリブート企画を持ち込むところから始まる。
晴れて企画は採用となったのも束の間、ドラマを新しく生まれ変わらせたいハンナと、昔のギャグを踏襲したいかつての脚本家ゴードンと衝突する。実はゴードンとハンナは不仲の親子関係でもあった。
さらに、再度結集した俳優陣も曲者揃いで、撮影がなかなか進行しないようすが毎話描かれていく。
このように製作現場の内幕モノとしては、コント番組の裏側のドタバタを描いた「30 ROCK」を思い浮かべるが、今作の「リブート」は“シットコム”の舞台裏というのが特徴だ。
 
今作の(劇中のではなく実際の)脚本を務めるスティーヴ・レヴィタンは、過去にいくつものシットコムを手がけた大ベテランである。特に「モダン・ファミリー」は10年以上続くヒット作となった。
そんな彼が今作を手がけているだけあり、シットコムのあるあるだったり、テレビドラマでよく見かける内容がメタ的に描かれていて、たとえば再結集した俳優陣がTVでは人気だったものの、終了後のキャリアが鳴かず飛ばずというには妙にリアルで笑ってしまう。
 
ほかにも、このドラマを配信するHuluが、そのままHuluとして劇中で登場し、職場の労働環境について親会社のディズニーからお達しが来たと愚痴をこぼす場面がある。
実際にHuluを所有する20世紀スタジオが、ディズニーに買収されて以降本当にあるんだろうなと思ってしまう。
 
また、演じる俳優陣もテレビドラマにゆかりのある面々で、「Key & Peele」のキーガン=マイケル・キー、「クレイジー・エックス・ガールフレンド」のレイチェル・ブルーム、「ジャッカス」のジョニー・ノックスヴィル(!)などTV好きなら一度は目にしたことがあろう豪華な顔ぶれ。
毎話のエピソードの名前も“Growing Pains”、“What We Do in the Shadows”など実際のTV番組の名前を用いている凝りようである。
 
ただ、純粋にコメディドラマとして見ると空回りしている印象も否めなく、その点が残念ではある。
その一方で、シットコムやテレビドラマ好きの人は魅力溢れる作品に違いない。
 
印象的な場面がある。
ストレスを抱えるHuluの役員の女性を励まそうと出演者がスタジオを連れ出し、最終的に彼女は元気を取り戻す。
その様子を見た彼は言う。
「ほらね、テレビはいつでもハッピーエンドなんだよ。」
やっぱりテレビドラマって良いよなぁ、としみじみ思ってしまった。