悪魔の吐きだめ

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第68回エミー賞受賞作についての雑記

今日行われた第68回エミー賞の授賞式の感想について。今年は番狂わせも多く、そんな意味でも楽しい授賞式でした。

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今回の各主要部門の受賞結果は以下の通り。

【ドラマシリーズ部門】
〈作品賞〉
ゲーム・オブ・スローンズ
主演男優賞
ラミ・マレック 「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」
〈主演女優賞〉
タチアナ・マスラニー「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」
助演男優賞
ベン・メンデルソーン「ブラッドライン」
助演女優賞
マギー・スミスダウントン・アビー
〈ゲスト男優賞〉
ハンク・アザリア「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー
〈ゲスト女優賞〉
マーゴ・マーティンデイル「ジ・アメリカンズ」
〈監督賞〉
ミゲル・サポチニク「ゲーム・オブ・スローンズ
脚本賞
デヴィッド・ベニオフ、D・B・ワイス「ゲーム・オブ・スローンズ

作品賞はやっぱり昨年同様「ゲーム・オブ・スローンズ」。「ブレイキング・バッド」という強豪が消えて以降、監督賞も脚本賞もしっかり押さえて、今や独壇場って感じ。いまだに僕はシーズン1止まりなのでそろそろちゃんと観始めないと怒られそうな気がしてきました。驚かされたのは各演技賞。主演男優賞は「Mr.ロボット」からレミ・マレックゴールデングローブ賞でも主演男優賞を受賞していたけど、GG賞は旬に飛びつく傾向があるので、堅いエミー賞では受賞は逃すと思っていた。主演女優賞は「オーファンブラック」のタチアナ・マズラニー。こちらもタラジ・P・ヘンソン、ロビン・ライトヴィオラ・デイヴィスらの名だたる強豪を押し退けて受賞。エミーもいよいよ若手に優しくなってきたか。

 

【コメディシリーズ部門】
〈作品賞〉
「ヴィープ(原題) / Veep」
主演男優賞
ジェフリー・タンバー「トランスペアレント
〈主演女優賞〉
ジュリア・ルイス=ドレイファス「ヴィープ(原題) / Veep」
助演男優賞
ルーイ・アンダーソン「バスケッツ(原題) / Baskets」
助演女優賞
ケイト・マッキノン「サタデー・ナイト・ライブ
〈ゲスト男優賞〉
ピーター・スコラーリ「GIRLS/ガールズ」
〈ゲスト女優賞〉
ティナ・フェイエイミー・ポーラーサタデー・ナイト・ライブ
〈監督賞〉
ジル・ソロウェイ「トランスペアレント
脚本賞
アジズ・アンサリ、アラン・ヤン「マスター・オブ・ゼロ」

こちらも作品賞は、昨年同様HBOの政治コメディ「Veep」。主演女優賞もジュリア・ルイス=ドレイファスが連続受賞。「風刺ではじめた政治ドラマが、今日ではドキュメンタリーになってしまいました」というスピーチが印象的だった。主演男優賞は「トランスペアレント」からジェフリー・タンバー。こちらも2年連続受賞で、司会のジミー・キンメルが「時間の節約に」と開始早々にトロフィーを渡し、笑いをとっていた。監督賞は同じく「トランスペアレント」のジル・ソロウェイ。この受賞したエピソード「Man on the Land」は、トランスジェンダーを単なる被害者として描くこと無く、更に作品のテーマを掘り下げた傑作エピソード。受賞後にジミー・キンメルから「コメディじゃないだろ」とツッコまれていたが、確かにこの回は全く笑えずただただ深く考えさせられる。脚本賞はなんとアジズ・アンサリが「Master of None」で受賞。主演男優賞は惜しくも受賞を逃したが、隣に座る母親の膝の上で受賞の発表を待つ姿には笑った。

彼が脚本賞を受賞した「Parents」は、その自らの両親の実話を基にしたもの。ドラマ内でも両親に感謝を述べていたが、スピーチや会場での様子も仲の良さが垣間見えて微笑ましかった。

もう一つ今回の受賞で嬉しかったのが、助演女優賞を受賞したサタデー・ナイト・ライヴのケイト・マッキノン。まさかの受賞で、普段はあまり感情を出さないケイトも涙ぐんでいた。でもしっかりスピーチでは「まずヒラリー・クリントンとエレン・デジェネレスに感謝」と述べて笑いをとるあたりはさすが彼女。そんなケイトを見つめるSNLの先輩芸人、ティナ・フェイエイミー・ポーラーの目は、まるで我が子の受賞を見ているかのように見えて、なんだかグッときてしまった。舞台裏でケイトの受賞を見ていた現在のSNLの同期、レスリー・ジョーンズの喜びもハンパなかったようで、本人が投稿したツイートは笑えたけどケイト以上に喜ぶその姿に感動してしまった。

リミテッドシリーズ部門は、「アメリカン・クライム・ストーリー O・Jシンプソン事件」がほぼ独占。「glee」から「アメリカン・ホラー・ストーリー」、「ノーマルハート」など定期的に話題を提出し続けるライアン・マーフィーは新たな「J・Jエイブラムス」、もしくはそれ以上かも。これからもますます目が離せない。

そんな今年のエミー賞授賞式のMVPは、司会のジミー・キンメルのお母さんと、そのお母さん特製のピーナツバターサンドを配る「ストレンジャーシングス」の子供たちでした。

この「ストレンジャーシングス」の愛されっぷりからすると、間違いなく来年のエミー賞には絡んでくるだろうな。そんな予想も含めてまた来年どんなドラマが観られるのか今から楽しみだ。