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悪魔の吐きだめ

映画とかドラマとかの感想書いてます

もう一人のウォルター・ホワイト『ベター・コール・ソウル』

ドラマ

いよいよNetflixが日本でもスタートし、以前書いた「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」や、MARVELの「デアデビル」などの「Netflixでしか観られない」作品が多数あることで加入した人も多いと思います。

そんなNetflix限定ドラマの一つ、「ベター・コール・ソウル」について。ネタバレはありません。

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 今作は、コアなファンが多い人気ドラマ「ブレイキング・バッド(以下、BrBa)」のスピンオフ作品。「BrBa」シーズン1については、以前も記事に書きました。

akudame.hateblo.jp

 既に「BrBa」は放送終了しているにも関わらず、世界中で熱狂的なファンが増え続けていることから、スピンオフの製作が決りました。今回の主人公は、「BrBa」でウォルターに手を貸していた悪徳弁護士ソウル・グッドマン。窮地に立たされるウォルターを持ち前の達者な話術で、警官やギャングから守ってきた。なぜ彼が悪と手を結ぶ弁護士となってしまったのか。そんな彼の過去が、今作で描かれる。

 

実は正直、僕はソウルというキャラクターがあまり好きではなかった。「BrBa」ではシーズン2から登場したものの、緊張感が漂うドラマの中で胡散臭く、ベラベラと喋り続けるソウルの存在は浮いて感じていたからだ。だから、ソウルを主役にしたスピンオフの製作を知った時もそれほど喜べなかった。

しかし、本作、観ているうちに実はソウルはもう一人の「ウォルター・ホワイト」だった事を知る。「BrBa」同様、男の欲とエゴに満ちた過去があった。

当時、ソウルは本名ジミー・マクギルと名乗って弁護士をしていた。この頃は裏取引などはしておらず、顧客も老人ばかりで儲けにもならない。金を稼ぐために顧客を確保しようと奔走するものの、ライバルの弁護士事務所には敵わない。徐々に彼は金を稼ぐために図らずも犯罪の道に逸れていく。

ライバル事務所の弁護士のニュースをテレビで憎々しく観る彼は、ウォルターが成功したかつての親友エリオットを憎む姿と重なる。ウォルターはエリオットに医療費を頼る手段があったものの、自分の手で金を稼ぐことを決めたが、ソウルも同様にライバルに頼って金を稼ぐチャンスがあったがプライドが邪魔してそれを許さない。また、ソウルが怒りの余りゴミ箱をボコボコに蹴る姿も、ウォルターがトイレでペーパーボックスを殴るウォルターと一緒だ。

今作は「BrBa」の前日譚だけでなく、第1話目で「最終回」の後日譚も描かれるのだが、カウチに座りながら過去の自分のCMを観返すソウルの姿は、まさにウォルターだった。

ウォルターが科学の知識を誤った方向に使ってしまったように、ソウルも法律の知識の使い道を誤ったに過ぎない虚しい男だったのだ。

とはいえ、ドラマ自体は「BrBa」ほど殺伐とした雰囲気はなく、ソウルの身に降りかかる様々な事件がコミカルに描かれる。いつしか視聴者も応援したくなるようなソウルを哀愁たっぷりに演じるボブ・オデンカークは今作でエミー賞主演男優賞に初ノミネートされた。

シーズン2ではどんな展開になるのか、また、マイクとガスの過去も描かれることになるのか、今から楽しみである。