悪魔の吐きだめ

映画とかドラマとかのことを書いてます。

『Dr.HOUSE』はマジで面白いからみんな観たほうがいいよ

ブログ一発目は海外ドラマのことから。

アメリカドラマの三種の神器と言われているのが、犯罪捜査モノ・弁護モノ・医療モノ。犯罪モノと言えば、『CSI』や『ボーンズ』とか、弁護モノだと『アリーmy Love』とか『プラクティス』、そして医療モノといえば、言わずと知れた『ER緊急救命室』がある。

この3つのジャンルはヒット間違いなし!の法則に乗ってたくさんのドラマが制作されてきた中で、じゃあ人気ジャンルの犯罪捜査と医療を合わせちゃえば面白いんじゃね?って始まったのが『Dr.House(原題:House M.D.)』なんです。そんな安易な…って思うかもしれないけど、これがめちゃくちゃ面白い。

話は毎回一話完結で、原因不明の病気で運ばれてきた患者をハウス医師率いるチームが診断→予想のもと治療→悪化→また治療...といった感じで進む。最初のころは患者にスポットを当て、まさにERプラスCSIって感じのドラマで始まったんだけど、これが段々とシーズンが上がるにつれて、『House』というタイトル通り、天才医師ハウスという人物の抱える問題に焦点を当てていくようになる。

ハウスは、全米屈指の診断医でありながら、口も性格も悪く、余命わずかな患者にすら辛辣な言葉を浴びせたりする。しかも、脚に障害を持っているため、麻薬性の強い鎮痛剤が手放せないジャンキー医師という、かなり異色なキャラクター。
そんなハウス先生だけど、誰に対しても全く態度を変えないのが逆に清々しく、ときに権力(シーズン1では理事長、3では警察)にまで歯向かう姿は、毎回ハラハラさせられるし、それでも抜群の観察力とひらめきで立ちどころに診断を下す姿は、まさに現代のブラックジャックで、なんだか魅力的に思えてくる。

患者のドラマが描かれる一方で(これだけでも非常に素晴らしいんだけど)、だんだんハウスの抱える問題が明らかになってくる。なぜハウスがここまで相手に横柄な態度を取り、心を閉ざしてしまうのか。それはトラウマがあったから、などというよくあるお決まりの過去があったからではない。ただ、傷つくことを恐れてしまい、人と接することを自ら拒んでしまうからなのだと分かってくる。

天才医師でありながらも、抱える悩みは誰しも身に覚えがあること。この人間関係で抱える「痛み」が、ただの医療ドラマに終わらず、物語に深みを与えているのだ。そのことに焦点を当てた後期シーズンの出来は非常に素晴らしく、これまでのテレビドラマの歴史に名を残すことは間違いない。

幸せになりたいと内心で思いながらも、いつしか彼の行動は、常軌を逸脱していく。シーズン5では、シーズン4の最終話で起きた衝撃的な事件がきっかけで、ハウスはこれまで以上に鎮痛剤に依存するようになり、幻覚を見るようになってしまうのだ。特に最終話に起こる出来事は『レクイエム・フォー・ドリーム』を思わせる超絶ホラー展開で鳥肌が立った。それはテレビドラマの主人公がここまで落ちていいのかと思うほどで、長年ハウスを観てきた視聴者にとっても辛すぎるものだった。

ラストでハウスは遂に精神病院に入院し、続くシーズン6ではハウスの再生が描かれるのだが、この初回の第1話(2部構成)はシリーズ屈指の神回で、独立した作品として観ても非常に優れている。さらにハウスをどん底まで落としながらも、希望を残す演出は『The Office』のクリスマススペシャルを思い出し号泣した。

Dr.HOUSE観てみたいけど、長くて億劫…」っていう人でも、このドラマの面白さはシーズン初回と最終話に集約されているのでそれだけでも是非観てほしい。
シーズン6最終話、続くシーズン7の初回もとてつもなく素晴らしいエピソードなので、また改めて書くことにする。

ちなみにこのドラマが大ヒットしたもう一つの理由が、ハウス先生演じるヒュー・ローリーの、これ以上踏み越えたら悪役になりかねないギリギリの演技のおかげ。身体と心の痛みを哀愁たっぷりに見せ、その一方でコミカルな演技もできるし(実は元英国コメディアン)、この演技だけでも見る価値アリです。