悪魔の吐きだめ

映画とかドラマとかのことを書いてます。

映画

2022年 映画ベスト10

こちらも毎年恒例の個人的に面白かった映画ベスト10について。ドラマと比べてあまり映画の本数が観られなかったように思うし、結果的に今年はメジャーどころの大作ばかりになってしまった。それが悪い訳ではないのだけど、来年こそはもう少し幅広く観たいと…

男性の恐怖と固定概念をぶち壊す「MEN 同じ顔の男たち」

夫の死を目撃した主人公のハーパーは、傷を癒すためイギリスの田舎町での生活を始める。しかし、そこで出会う管理人、神父、警察官、少年、浮浪者、すべての男たちが自らの男性性を武器にして、あらゆる形で彼女を恐怖に陥れる・・・しかもその男性たちはす…

映画の面白さを思い出させてくれた「NOPE/ノープ」

ジョーダン・ピールの最新作「NOPE/ノープ」を観た。 ピールの初監督作の「ゲット・アウト」は楽しめたものの、2作目の「アス」があまり好きでなかったこともあり、正直今作もあまり期待はしていなかった。 しかし、完全に度肝を抜かれた。久しぶりに“映画”…

「スパイダーマン : ノー・ウェイ・ホーム」を観た

「スパイダーマン : ノー・ウェイ・ホーム」をようやく観た。「ネタバレ厳禁」が強く喧伝されていたものの、アメリカでの公開からタイムラグがあったせいでYouTubeやらニュースサイトでネタバレを食らってしまうということもあり、公開前にはおちおちネット…

2021年 映画ベスト10

毎年恒例の今年観た(公開・配信された)映画ベスト10について。 第10位「バーブ&スター ヴィスタ・デル・マールへ行く」 クリステン・ウィグとアニー・マモロウの「ブライズメイズ」コンビの新作ということで期待していたが、前作と打って変わって完全にバ…

ヨルゴス・ランティモスの描く唯一無二の世界「アルプス」

思い返してみて登場人物たちが一人として涙を溢していただろうか、と思ってしまう。唯一涙を溢していたとしたら、目薬を差されていた主人公の父親だろう。それも強引に、だ。 「アルプス」の名付けられたグループは、突然家族を亡くした遺族に故人に成り代わ…

「花束みたいな恋をした」の感想と妄想

観ている間Apple Watchが盛んに振動して心拍数が上昇していることをしつこく知らせてくるので、途中で外してしまった。観終わってそのまま帰路につき、徐にパソコンを開いてこれを書いている。「花束みたいな恋をした」は、きっと誰しも誰かに話したくなる作…

青春映画「ペーパータウン」と「ぼくとアールと彼女のさよなら」について

休日にたまたま「ペーパータウン」と「ぼくとアールと彼女のさよなら」の青春映画2本を立て続けに観る機会があった。いずれもヤングアダルト小説の原作を基にした作品で、何年か前に読んでいたものの映画はずっと未見だった。 この2作には色々と共通点があっ…

2020年 映画ベスト10

今年観た映画ベスト10の個人ランキング。 第10位「The Forty-Year-Old Version」 かつて有能な若手として期待されていた主人公のラダが、40歳を前にして自分の生き方を見直すコメディである今作。タイトルは「40 Year-Old Vergin」(40歳の童貞男)のパロデ…

青春映画の新たな傑作「ハーフ・オブ・イット」

Netflixオリジナル映画(実際にはオリジナルではないのかな?)の「ハーフ・オブ・イット」が、近年稀に見るめちゃくちゃ良くできた青春ラブコメディ映画だった。従来のラブコメや学園映画の定石を踏みつつ、新たな視点をミクスチャーしたことで、とても新鮮…

2019年 映画ベスト10

毎年恒例の今年劇場公開された映画の年間ベスト10。 第10位「ファイティング・ファミリー」 スティーヴン・マーチャントが「ジ・オフィス」の放送から20年近く経ってもなおも描き続けるのは“人生を諦めた者の物語”。WWEのオーディションに合格してプロレス女…

「ファイティング・ファミリー」スティーヴン・マーチャントが描いた“諦めた者”についての物語

最近、講談師の神田松之丞がパーソナリティを務めるラジオ「問わず語りの松之丞」をよく聴いている。その中で神田松之丞が「しゃべくりセブン」に出演した際にくりぃむしちゅーの「上田晋也一代記」を行おうとしたが結局やらなかった、という話があった。理…

アナベルから本家「死霊館」へのラブレター?『アナベル 死霊博物館』

ジェームズ・ワンが監督した「死霊館」(The Conjuring)は本当に凄いホラー映画だった。“出そうで出ない(けどやっぱり出てくる)”脅かし演出、ホラーに似つかわしくない流麗なカメラワークなど、ビジュアルや大きな音に頼るだけのワンパターン化していた近…

6月に観たもの・読んだもの

ちょっと遅くなったけど6月に観たもの、読んだものについて。まず個人的に6月はイベント的なトピックがいくつかあって、一つはサザンのライブだった。奇跡的に40周年ライブツアーの最終日のチケットが取れて、それも久々のライブだったから楽しみで、行って…

5月に観たもの・読んだもの

4月に「アベンジャーズ」、5月に「ゲーム・オブ・スローンズ」というゼロ年代を代表する二大エンターテイメント作品が終わり、まさに盆と正月が一緒に来たってこのことだなと思った。GoTの感想についての記事は以下に書いた。 ただ、終えて今思うのは、あま…

「荒野にて」居場所を求める少年と馬の物語

アンドリュー・ヘイ監督の新作「荒野にて」が本当に素晴らしかった。 監督のアンドリュー・ヘイについては、HBO製作のゲイドラマ「Looking」でその名を知った。今作ではマイノリティの疎外感だけでなく、そのコミュニティ内でもあるゲイ同士の微妙な距離感の…

「マイ・ブックショップ」小さな書店と厳しい現実

大人になってから本を多く読むようになった。何かきっかけがあったわけでは無かったと思うけど今まで触れてこなかったジャンルも含めて読み漁りはじめた。それがきっかけで今も本屋、それこそ大型書店から小さい古本屋まで、見かけるとつい立ち寄ったりして…

ポール・フェイグが放つブラックなガールズコメディ「シンプル・フェイバー 」

アナ・ケンドリック、ブレイク・ライヴリー主演の「シンプル・フェイバー 」は、突然失踪したママ友をブロガーママが追ううちに驚きの真相が判明するというサスペンスミステリー。として謳われていたが、実際観てみるとこれがコメディだったから更に驚いた。…

「グリーンブック」ファレリー兄が描くフラットな“弱者”の物語

今年のアカデミー賞作品賞は「グリーンブック」が受賞した。世間の大方の予想では「ROMA」か「女王陛下のお気に入り」が有力視されていた中での今作の受賞はかなりサプライズでもあった。 それもそのはずで、監督は「メリーに首ったけ」や「愛しのローズマリ…

2018年 映画ベスト10

今年面白かった映画上位10本について。 去年の作品やDVDスルーの作品は除いてます。 第10位「RAW」 大学デビューと同時に肉食デビューしたベジタリアン女子が真面目だった殻を破るようにノリノリで人肉に目覚めていく様が最高。一見するとフェティシズム溢れ…

「ペンタゴン・ペーパーズ」とスピルバーグのTV界への恨み節

先日日本で公開となったスティーヴン・スピルバーグ監督の新作「ペンタゴン・ペーパーズ」(原題: The Post)。ベトナム戦争時代の政府の隠蔽文書とそれを世間に公表しようとする新聞社を描いたこの映画はスピルバーグのフィルモグラフィーの中では比較的地…

2017年 映画ベスト10

2017年の個人的映画ベスト10について。 第10位「ゲット・アウト」 米人気コメディアンのジョーダン・ピール初監督作は、笑いと恐怖の紙一重の差ギリギリを描いたエンタメホラー映画。古典ホラーをベースにしながら人種問題も取り入れた、2017年のアメリカの…

『キングス・オブ・サマー』 永遠だと思っていたあの夏について

この映画の事を書こうとすると、うまく言葉に纏まらない。でも書き留めて置かないと、朝起きた時には覚えていた夢が、断片となって徐々に消えていくように、この映画を観たときに感じていた気持ちも、いつの間にか忘れてしまいそうになる。その気持ちという…

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」ラストの曲に込められた意味

MARVELの中でも特に原作の知名度が低かったにも関わらず、大ヒットとなった「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」待望の続編、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」が日本で公開となった。 この無名に近いキャラクター達の作品がヒットした…

2016年 映画ベスト10

2016年のベスト10について書きます。今年も豊作でした。 10位「君の名は。」 今年最大のヒット作を冷やかし半分で観に行って号泣。あの日、あの時、あの場所で出会った人を救うために奔走する後半の展開は、まるで「オーロラの彼方へ」や「エターナル・サン…

プレイリストで振り返る2016年の映画とドラマ

2016年に観た映画とドラマの中で流れて印象的だった曲(僕がプレイリストでヘビロテしていた10曲)とともに、それぞれの作品を振り返りたいと思います。 Good Girls / Elle King (個人的に)今年一番の重要作の『ゴーストバスターズ』から。エンドロールま…

『ブレイキング・バッド』と『逆噴射家族』について~ブレイキング・バッドが影響を受けた日本映画

前回『ブレイキング・バッド』のシーズン2について書いた中で触れた傑作エピソード第10話「Over」と、製作側が(恐らく)影響を受けていると思われる日本映画『逆噴射家族』ついて書きたいと思います。以下ネタバレあり。 第9話「4 Days Out」のラストで、ウ…

リブート版『ゴーストバスターズ』を観た!

「ポール・フェイグがクリステン・ウィグ、メリッサ・マッカーシーらを起用してゴーストバスターズの新作を撮る」というニュースが報じられてからひたすら楽しみに待っていたリブート版『ゴーストバスターズ』。その感想を極力ネタバレ無しで書きます。 前回…

リブート版『ゴーストバスターズ』の批判について思うこと

今年公開を控えた「ゴーストバスターズ」の新作の予告が、YouTube史上最も低評価を受けた映画予告編となったらしい。そのコメントの多くが「なんで女性なんだ」とか「誰だよこのおばさん達」みたいな批判だ。そう、今回のリブート版バスターズは全員女性なの…

2015年 映画ベスト10

2015年の映画ベスト10をまとめました。1位「わたしに会うまでの1600キロ」時間軸をバラバラに切り刻んで展開することで、主人公のトラウマを観客も追体験する事になるヘビーロードムービー。監督の前作「ダラス・バイヤーズ・クラブ」より演出が冴えまくって…